恋愛だけじゃダメって本当?私は出会いを求めて生きていく2017

昔に体験した恋の話

あれはもう5、6年くらい前のことだったと思います。

 

当時私は病院勤めで、看護助手として働いていました。

 

地元を離れ、ボーナスや給料の良い病院勤めを選んだのですが、寮暮らしだったので周りには同期や後輩や先輩が住んでいて、あまりプライバシーみたいなものはなかったように思います。

 

病院では、日々弱って亡くなっていく高齢の患者さんを看取り、部屋に帰ると、先輩との付き合いや同期や後輩との付き合いがあり、精神的にも肉体的にも疲弊しているのに、いろんな人に気を遣わなければならず、毎日が辛かった時期でした。

 

彼と出会ったのは、ちょうどそんな風に心が疲れていた頃。

 

夜勤明けの休みの日、家にいるのがしんどくて、私は寮から歩いて20分くらいの距離にある神社に散歩に出ました。

 

初夏で、藤棚のあるその神社は昼間でも静かで、境内には参拝客もまばらだったので、のんびり過ごすにはもってこいの場所でした。

 

藤棚のそばのベンチに腰を掛け、空を眺めながら陽の光を浴び、少しリフレッシュしてから帰ろうと立ち上がりました。

 

ふと、夏用のお茶を淹れるための涼しげなグラスが欲しいなと思い立ち、神社の近くの商店街が立ち並ぶエリアに寄り道しました。

 

いろんなガラス細工のグラスを物色していると、ふらりと立ち寄った中東の雑貨を扱っているお店でトルコのチャイグラスをみつけました。

 

装飾の美しいチューリップの可愛いチャイグラスを手にとって眺めていると、お店の店員さんなのか、1人のトルコ人青年が話しかけてきました。

 

彼は、チューリップはトルコの国花なのだと私に話し、他のグラスやキリムなども見せてくれ、アートやランプの装飾についての話などもいろいろしました。

 

落ち着きのあるゆっくりとした話し方や、美術品などにも詳しく、知識も豊富な感じで、インテリな方だなというのが最初の印象でした。

 

私も美術展などに足を運ぶのが好きだったので、彼とはアートの話ですぐに仲良くなりました。

 

結局チューリップのチャイグラスを買って、私は彼にサヨナラの挨拶をしたのですが、帰り際に名刺を渡され、彼がそこに自分の携帯電話の番号を書き込んで渡してくれました。

 

もっとあなたと話してみたいから、もし暇があれば、その時は遠慮なく電話をして下さいと言われました。

 

しばらくは仕事に忙殺され、連絡することを忘れていたのですが、ふいに思い出して電話をすると、今夜空いてるならお店に遊びに来て!トルコ料理を食べさせてあげると言われました。

 

お店には夜で沢山の美しいランプが点灯して飾られ、とてもロマンチックな雰囲気の中、彼がトルコ料理を作って、チャイと一緒に出してくれました。

 

彼とはそれから夏の間、恋人として過ごすようになりました。

 

夏の終わり、トルコにもうすぐ帰るから、一緒に帰らないか?と言われました。

 

それまでも国際恋愛をしたことがあったので悩みましたが、宗教や文化や言語の違う土地に、勇気を出して飛び込むことは出来ませんでした。

 

一緒には行けないと泣きながら話した私に、彼はいつか遊びにおいでと優しい笑顔で言いました。

 

夏の間、彼が一緒にいてくれたおかげで、私は精神的にもだいぶ元気になり、仕事にも前向きに打ち込めるようになりました。

 

短い恋に終わってしまったけれど、彼が大人で、一緒に行けないと言っても、トルコに帰る間際まで、たまにはカフェでお茶を飲んだり、仕事の愚痴を聞いてくれたり、側で支えてくれたからいつも笑顔でいられたのだと思います。

 

ずっとは一緒にいられなかったけど、心が疲れている時に必然的に出会ったヒーローみたいな人だったのだと今は思います。

ホーム RSS購読 サイトマップ